たまたま、本屋で見つけ買ってしまいました
DVD付き
第三部の１話
狼止メ衆は不死にて候
黒門固メ煙止メ衆
上野御霊屋参詣、あるいは紅葉山参詣など
に際して、公方が外出する際は、その通路に
あたる三町四方は「煙止メ」と称し煙を立てる
ことを一切禁じられていた。
煮炊きの煙はもちろんのこと、風呂や焚き火、たとえ見えなくても
煙草の煙も然りである。
その煙立ちをあらためる役目の者は無役の御家人の中から選りすぐられていた。
この特別任務を負った者が、「黒門固メ煙止メ衆」なのである。
呼称は御霊屋の「黒門」に由来していた、
彼らはその身分こそ低いが行列の蔭共をするほどの者たちで
あるからには当然ながら手慣ればかりである。
しかも、この任務の他は一切の役目につくことがないため
一年のうち三百五十日以上を武技の鍛錬に充てている。
こうして彼らは恐るべき使い手の集団としてすでにその名を
天下に轟かせていたのである。
[3回]
PR
